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アート

DANCE

モダンダンスとコンテンポラリーダンス② ~モダンダンスとは~ 日本語初・主要ダンスまとめwith動画。

by Aika Takeshima 4月 7, 2022
written by Aika Takeshima

目次

皆さんこんにちは。

本日は、なんやよく分からないこの2つのダンスについてシリーズ②~モダンダンスとは~です。

モダンダンスやコンテンポラリーダンスについて、日本語で簡潔&動画つきで一気にまとめて説明されたものはなかなかありませんので、是非ご一読下さい☆モダン/コンテダンサーなら、更に読んで欲しいです!

前回の ”モダンダンスとコンテンポラリーダンス①” では、導入としてそれぞれのざっとした特徴や定義と、知る意義についてお話させて頂きました。

「モダンもコンテも一緒じゃない!?」

というかなりあるあるな疑問にもお答えしています。

なので先にこちらを読んで頂いた方が、本日の記事もすっと入ってきやすくて良いかなと思います☆そちらも是非ご覧下さい☆

モダンダンスとコンテンポラリーダンス① ~特徴&知る意義~

目次 「モダンダンスって、ちょっとカジュアルにしたバレエでし

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モダンダンスとは ~定義~ 

モダンダンスにも時代(初期、中期、後期)や振付家によってスタイルや捉えられ方が違うのですが一文で表しますと、

19世紀末~20世紀中頃に
「もっと自由に躍らせろ!表現させろ!」と、
ルールの多いバレエに
反発して出来た
自分の内面を表すダンスと、
それを引き継いで更に進化したダンス。

となります。

モダンダンスとは、「こういうステップや技があればモダン!」というような踊りの特徴に対してつけられた名前ではなく、このように考え方や取り組み方や時代に対してつけられた名前です。

現在の世界では上記のオリジナルとは違い、コンテンポラリーダンスをするなら必須とされている、「上達の為のテクニック、メソッドダンス」と捉えられる事が多くなっています。
モダンダンサーは高スキルと素晴らしい筋肉の持ち主が多いです。

モダンダンスは、大きく以下の3つに分けられています。

  • パイオニアの初期
  • テクニック、メソッドの確立やスクール化の中期
  • 抽象的、挑戦的、実験的になった後期

それぞれを代表的な振付家と動画をご紹介しながら、簡潔にお話させて頂きます。

モダンダンスの歴史

~パイオニアの初期~ 当初は斬新でワオ!!だった。

パイオニアの初期:1880~1920頃

第一次世界大戦や産業化、社会経済の急激な変化もあり、人々の価値観や生活スタイルも大いに変化した時代。もっと自由なダンス、女性の解放・自由が求められ、主に女性ダンサーにより新しいダンス=モダンダンスが生まれました。

<Isadora Duncan モダンダンスの母>

モダンダンスの母と呼ばれているIsadora Duncan。
自由と、より人間らしい感情を表現出来るダンスを求めて、一番最初にバレエでは当たり前とされていた事をぶち壊したダンサーと言われています。
彼女はトーシューズとコルセットを脱ぎ捨て、髪をほどき、裸足、緩やかな衣装で踊り始めた一番最初のダンサーでした。
これはもう、当初の人々からしたらものすんんんんんごく新しくて、ワオ!!!なダンスでした。

<Loie Fuller シルクの衣装と舞台照明>

ちなみに彼女は貧しい家庭を助けるため、なんと5歳から近所の子供達にダンスクラスを教えていました。

その後、彼女はバーレスクやサーカスショーなどエンタメ界でダンスをしていました。

そして更に後に、彼女は独自の自然な動きやインプロビゼーション(即興)ダンスのテクニックを生み出し、長いスカートや照明を巧みに取り入れた作品作りをしていきました。

シルクの衣装にも映し出される彼女により計算された照明デザイン。

モダンダンスと舞台照明のパイオニアとされています。

 

「正解・不正解のルールを他人に決められる人生ではなく自分のルールに沿った人生を歩みたい。」

「ダンスはエンターテイメントのみではなく、芸術であるべき。」

そう考えていた彼女が求めていたのは、新しくて全く異なるダンスでした。

なので、「バレエはルールが多すぎる。」とし、バレエ好きではありませんでした。

「バレエは醜く、自然に反している。」とまで言うほど(!)

彼女は、自然で自由な“今時な=modern”ダンスを踊っていたのです。

<Ruth St. Denis 中東やアジアなど異文化の融合>

彼女は東洋の文化・哲学を取り入れた独特の振付作品を披露し、当時の人々を魅了しました。

その魅了された人の1人が、後の夫となるテッド・ショーン。(ダンサー)

そして2人はDenishawnというダンス学校を創設。裸足で行われるバレエを元にしたメソッドを確立し、今につながるモダンダンスの基盤を作りました。

なんと教え子にはこの後紹介します、マーサ・グラハムも含まれます!

このように彼女たちがパイオニアとして、その後現在に至るまでのダンス形成・ダンサー輩出に大きな貢献をはたす活躍をしていました。

彼女たちは皆、自分達の内面、複雑な感情全てを表現出来る、“今までに無い方法”を見つけようとしたんですね!

バレエのルールを守るのではなく、全身を使って自由にクリエイティブに。

モダンダンスの歴史。

~メソッド化の中期~ 現在も重宝されているスタイル

メソッド化の中期:1920~1945頃

パイオニア達の下で学んだダンサー達によって、更に独自のスタイル、現在でも世界的に重宝されているテクニックやメソッドやスクールが確立された時代です。

それが、モダン/コンテンポラリーダンス界で超有名な、Martha Graham(グラハム)とLester Horton(ホートン)達です。

<Martha Graham コントラクション&ドラマチックなグラハムテクニック>

先ほどのパイオニアの一人、Ruth St. Denisたちのダンス学校Denishawnで学んだ彼女。
モダンダンスを更に一つ上のレベルにまで持っていき、世界中のダンサーに影響を与えた(現在も)最も有名、重要なモダンダンサーです。

グラハムの3大要素には、

  • コントラクションとリリース(上半身を後ろに引込めてカーブする姿勢とそこから元に戻る事)
  • スパイラル(ねじる)
  • 重力を利用しての床への落下

があり、コアの力を強くする事が出来るテクニック。全ては感情や過去の経験など自分の内面をより強く、自由に表現する為(ドラマチックに!)のものでした。
その為にダンサーが確固たるトレーニングを積んでいる事は彼女の信念では絶対不可欠で、「トレーニングのみがあなたに自由を与える。」とも述べている程、テクニックの重要さを唱えていました。なので日々の鍛錬にはなかなか厳しかったようです。

(↑ クラス風景)

(↑ 実際のパフォーマンス。ドラマチックかつすさまじいテクニックです。)

<Lester Horton 身体を強くかつ柔らかくするホートンテクニック>

彼も、Ruth St. Denisに大きく影響を受けた一人。

強靭さと柔軟さとバランス力を養う事が出来るテクニック。
解剖学とネイティブアメリカンやその他のダンス(日本も入っています)を元に、どんなダンスにも通用出来るように作られたメソッドで、フラットバックやTの字エクササイズなどが代表的です。

これらのエクササイズはものすごくきついのですが、
「うわ!すごく効いてる!効果ありそう!絶対強くなる!あ゛~横腹~~~!!バランス~~!ムズイ~!!」と、
即実感出来ます。きついですが。笑

彼の生徒の一人が、NYを拠点とする世界的に有名なAlvin Ailey。Hortonの死後彼のカンパニーを引き継ぎ、現在のAlvin Aileyカンパニーの作品にもホートンテクニックが基盤として採用され続けています。

(↑ クラス風景)

(↑ Alvin Aileyダンスカンパニーの作品”Revelations” より。1’50からのソロはホートンテクニックらしさがすごく出ていて圧巻です。)

モダンダンスの歴史。 

~抽象化した後期~ 後のコンテンポラリーダンスに繋がっていく。

抽象化の後期:1945~1960頃

抽象的、実験的になって後のポストモダンやコンテンポラリーダンスへの架け橋となりました。

<José Limón 重力と呼吸の利用でふわっと流れるような自然なリモンテクニック>

José Limónは、中期に活躍したモダンダンサーDoris HumphreyとCharles Weidman(共にRuth St. Denisたちのダンス学校Denishawnの生徒&カンパニーダンサー)に学びました。

彼は、全身の呼吸、重力や体重の利用を通して、無重力のようなふわっと流れるように動きを繋げるテクニックを作りました。

リモンテクニックの重大要素には、

  • fall and recovery(落下と回復)
  • rebound(リバウンド)
  • weight(体重や重力)
  • suspension(引っ張って伸ばすような動き)

などがあります。

(クラス風景)

(↑ Limonダンスカンパニー “Corvidae” グラハムやホートンより力まず、呼吸や重力を上手く利用して流れるような踊り方です。)

<Merce Cunningam 後のポストモダンやコンテンポラリーダンスに繋がる抽象的スタイル>

Hortonに学びGrahamのカンパニーでも活躍した彼は、コインを投げて裏表で振付を変えたり、物語がある必要は無いとしたり、ダンスとそれ以外(音楽など)が無関係でそれぞれ独立しているとしたり、抽象的なスタイルを生み出しました。

それまでは上記に書いてきたように、いかに感情を表せるかを模索してきたモダンダンスだったのですが、彼が一気に抽象さを取り入れました。
そしてそれが、後のポストモダン(反モダン)やコンテンポラリーダンスに繋がっていくという、ダンス史において非常に重要な人物でした。

コンテンポラリーダンスを説明する上では、「一番最初のコンテンポラリーダンス」や、「Before Cunningham、After Cunningham」と言われる位重要な人物です。なので、彼はモダンダンスではなくコンテンポラリーダンスと捉えられることもあります。

テクニッククラスでは、頻繁に方向を大きく変えるステップなどで空間認識能力を高める事が出来るのが特徴的です。

(↑ クラス風景。1:05:15辺りから、移動しながらの方向転換&バランスが出てきます。ものすごく難しいです。上級、プロのダンサーでもこのようにヨロヨロしている位です。)

(↑ Merce Cunningamダンスカンパニー “CRWDSPCR” & “Quartet”
 無機質&幾何学的であり、動きは揃ってるが曲とは合っていないという不思議な抽象的スタイル)

<Paul Taylor  一番最後のモダンダンス。>

ダンスを始めてたった2年の元水泳選手がダンスコンテストで優勝し、Martha Grahamにその才能を買われ彼女のカンパニーに入団。 
その他にも上述のJosé Limón、Doris Humphreyに師事、そして活躍。

時計を見る、バスを待つなど日常の動きを取り入れたり、「デュエット」という作品では4分間2人共全く動かなかったり、暗くて重い系の時もあれば明るくて笑かせてくる時もあるし、タンゴの時もあればバレエっぽい時もあるし本当に多様。当時には無かった実験的作品を次々に創作し、Martha Grahamに「やんちゃ坊主」と呼ばれていた異端児でありました。

しかしそれが、上記のMerce Cunningamと同様後のコンテンポラリーダンスへと繋げる重要な架け橋となったのでした。

(彼自身はテクニックを作らず、主にバレエの基礎をベースにしていました。)

まとめ

このようにモダンダンスとは、自由を求めて、表現の幅を広げる為に、そしてもっともっと大きく自由に身体を動かせる方法を模索して生まれた、バレエに変わる新しいダンスでした。
⇒”バレエに変わる”なので、日々の練習用にもメソッド化され、ダンサーは高度な技術を養う事が出来るのです。

人々をワオ!と驚かせたパイオニア達の初期。
⇩
そこから学んだダンサー達によって更に独自のスタイル、現在でも重宝されているテクニックやメソッドが生まれた中期。
⇩
更にそこから育ったダンサー達が ”抽象さを付け足して” 独自のスタイルを生み、後のコンテンポラリーダンスに繋がっていく後期。

そしてこの後実は、(上記にも数回出てきましたが)ポストモダンといって、モダンダンスに反対するスタイルが出てきました(インプロ:即興など)。これは名前にモダンと入っていますが「反」モダンなのでモダンダンスとは違います。なのでポストモダンについてはまた次回にお話しさせて頂こうと思います☆

何にでも ”流行り” はあり、今ではもう古いとか、かたっくるしいとか、バレエやん、と思われてしまっている感は否めないですが、当時はものすごく斬新で、「バレエじゃないダンスだ!なんだこれは!?」と人々に衝撃を与え、魅了していたのがモダンダンスでした。

今ではパフォーマンスとしての人気は昔に比べると減ってきていて、そのカンパニーを目指すダンサーも減ってきてしまってはいますが、テクニックとしては今でも世界中で必須とされているダンスです。

特にグラハム(Graham)テクニック、ホートン(Horton)テクニック、リモン(Limon)テクニックは3大モダンテクニックなので、是非とも頭の片隅に入れておいて頂けたらなと思います☆

個人的には、何でもアリになり過ぎてコンテンポラリーダンサーの基礎的技術が落ちていってる感が否めないので、是非とももう一度モダンダンスを見つめ直す事は有意義だと思っています。

おわりに

日本での捉えられ方はもっともっと曖昧で、もしかしたら少し違うかもしれません。それはこのダンスが西洋生まれである事で、生徒さんはもちろんのこと教える側にも知識が正しく回っていないからという事が考えられます。
(例えば西洋人が思っている日本の芸者の定義は、日本の芸者の定義よりも曖昧だったり、何だかお下品なお色気ジャパニーズガールとなっていたりもするように。)

しかし、日本でも正しい知識が誰にでも届くように広めたい思いで、今回はモダンダンスについて西洋基準でお話しさせて頂きました☆

ダンサーではない方からしたら面白くないシリーズかもしれませんが(ダンサーは必須!)、世界では基本的なアート史や舞踊史は一般の人でも割と知っていて、それぞれが自由にアートやダンス鑑賞を楽しんでいます。


「私プロ野球ファンなの。○○○が試合する時はいつも観に行くのよ。」みたいな感覚でしょうか。実際にそういう方々が西洋では客席を埋めています。日本のように、ダンサーや出演者の親戚・お友達だけではなくて。

なので、「一つ趣味でも増やしてみようかな。」と、ダンス鑑賞が皆さんの新たな趣味になってもらえたら、本当に嬉しいなと思っております☆

 

今回はとってもボリューミーでしたがいかがでしたでしょうか?

でもダンスヒストリーの教授になりたいのではなければ、本日こちらに書いていることや、ご紹介した動画をしっかりと見て研究してみるだけでかなり十分かと思います!

ということで、もう一回、二回、三回、何回でも読み直しに来て下さい☆

ここまでギュッと動画付きでまとめられた記事はあまり見ないので、一年に一回とか、辞典代わりにでもおすすめです☆

 

本日も長々とありがとうございました☆

次回はポストモダンについてです☆

モダンダンスとコンテンポラリーダンス② ~モダンダンスとは~ 日本語初・主要ダンスまとめwith動画。

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モダンダンスとコンテンポラリーダンス① ~特徴&知る意義~

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4月 7, 2022 0 comment
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DANCE

モダンダンスとコンテンポラリーダンス① ~特徴&知る意義~

by Aika Takeshima 3月 31, 2022
written by Aika Takeshima

目次

「モダンダンスって、ちょっとカジュアルにしたバレエでしょ?」

「モダンダンスとコンテンポラリーダンスって一緒じゃないの?色々あるコンテの中の一つがモダンか、色々あるモダンの中の一つがコンテみたいな。」

「なんか違うらしいのは知ってるけど、よくは分からない。聞かれるといつも上手く答えられない。。。何が違うの?」

ダンスをされている方でも、このように思われている方が多いのではないでしょうか?これらはモダン・コンテンポラリーダンスの疑問あるあるだと思います。

モダンダンスやコンテンポラリーダンスをされてる方は日本にも多いと思うのですが、モダンダンスやコンテンポラリーダンスが好き、というよりは、「その先生やカンパニーの踊りやクラスが好きだから受けている/所属している。」という感覚に近いのではないでしょうか?

ちなみに以前の私は、まっっっっっっっっったくもって分かってなかったです。

日本にいる時の、まだコンテンポラリーダンスをしていなかった当時の私の概念は、

モダンダンス=バレエ基礎で結構しっかり踊る。つまりJazzダンス。

コンテンポラリーダンス=あんまり踊らない、動かない謎系。コンテっていうかコントじゃない?

という、今コンテンポラリーダンス作品を作っている者としてあるまじき考えをしておりました。
(大人から始めた私にまで届くような、正しい知識や情報元なんて無かったんです!申し訳ありません!でもだから今広めようとがんばってるので許して下さい!)

本日から数回に分けて、「モダンダンスとは」「コンテンポラリーダンスとは」についての記事を書いていきますので、これですっきりはっきりさせましょう☆

本日は導入として、

・疑問あるあるへの回答
・ざっくりとしたそれぞれの定義/全体像
・そもそもの知る意義や必要性

をお話させて頂き、次回以降でそれぞれについて詳しくお話させて頂こうと思っています☆

疑問あるあるへの回答

Q.「モダンダンスって、ちょっとカジュアルにしたバレエでしょ?」

⇒バレエに反発して生まれた、当時それまでになかった革新的な新しいダンスなので、バレエではありません。
当時は今のようにたくさんのダンススタイルはなく、「ダンス=バレエ」でした。なのでモダンダンスを始めた人たちの多くはバレエを学んできた人や、バレエダンサーがモダンダンスに魅了されて受け継ぎました。

なので、バレエに似た動きがあります。ストリートダンスとは全く違う派生なのでストリートダンスっぽさは全くなく、現代においてストリートダンスと比べたらバレエと思われるのも無理はないかもしれません。

ちなみにジャズダンスとはルーツが全く違います。ジャズダンスのルーツはアフリカン民族舞踊なので、もっとシャープかつリズムや音楽を重視して踊られます。

参照:

  • 「バレエとは~宮廷ダンスからハードロックバレエまで~」
  • 「ジャズダンスとは〜クラブパーティーダンスだった」

Q.「モダンダンスって、コンテンポラリーダンスと一緒じゃないの?」

⇒モダンダンスが ”バレエNO!” と言って生まれたのに対し、コンテンポラリーダンスの始まりは ”バレエYES!” ”モダンYES!” と、両方を取り入れた更に新しいダンスでした。なのでそれぞれに似ているところはあれど、純粋なバレエや純粋なモダンとは違います。
しかしそれぞれをどれ位取り入れるかは、作り手の経験や好みによって大いに左右されます。なので作り手や作品によれば、”ほぼバレエやん!”とか、”ほぼモダンやん!”とか、最近だと”ほぼヒップホップやん!”などがあるのだと言えます。

(”コンテンポラリーダンス”という名前の使い方が無法地帯になってしまっている気も否めませんが、、、コンテンポラリーダンス界の問題はまた今後記事にしたいと思います!)

Q.「コンテンポラリーダンスと違うらしいのは知ってるけど、よくは分からない。なんとなくは分かるけど、説明までは出来ない。。。何が違うの?」

⇒詳しくは次回以降で述べますが、それぞれの特徴をあげるとこうなります。

<モダンダンス>
・制約の多いかたっくるしいバレエに反発して生まれたもの。⇒バレエの反対=脚技よりも上半身重視、はだし、おろした髪の毛、流れるような衣装、
・バレエからの自由、女性解放の自由など、自由を求めたダンス。
・コンテンポラリーダンスより古い。
・人間の内面、感情表現重視。ドラマチック。(初期~中期。後期以降になると、次第に抽象的になってくる⇒コンテにつながる)
・パフォーマンスとしての人気は、当初に比べて減ってきている。
・しかし確立されたテクニックやメソッドがそれぞれにあり、大手の学校もあるし、現在も”テクニック”としては世界中で高需要。

<コンテンポラリーダンス>
・バレエとモダンを取り入れて生まれた。
・テクニック・メソッド化された何か(バレエやモダンなど)に、新しい何か(フロアワークやコンタクトインプロや演劇やヒップホップなどなど)を入れて、それぞれの創始者がしなかったことをする。
・しかし次第に無法地帯化。なんかよく分からないもの全部コンテって言っちゃえ的な風潮
・ドラマチックではない。=動きと感情が分かりやすくは繋がっていない。=抽象的。
・そもそも感情とかないものもあり。
・一つのテクニックだけでは踊りこなせない。
・テクニック化、メソッド化されていない。
・現在進行形。

モダン・コンテンポラリーダンスの定義

<モダンダンスとは>
19世紀末~20世紀中頃にバレエに反発して自由を求めて生まれ、当時からしたら革新的だった、自分の内面を表すダンス全般を指す。特徴は振付家により異なるが、バレエとは違い裸足、上半身重視など。現在ではもう新しくはなくなったがそれぞれの確立されたメソッドにより今でも人気。西欧では、コンテンポラリーダンスをするなら必須とされているダンス。
現在世界では、「ダンス上達の為のテクニック取得、メソッドダンス」と捉えられる事が多い。

<コンテンポラリーダンスとは>
元々は更なる表現方法を求めてバレエとモダンの両方を取り入れてみた、20世紀中頃以降に出来た抽象的なダンス(感情表現重視ではない)全般。モダンダンスと同じく踊りの特徴は振付家により異なるが、何かのメソッドに何か新しいフレーバーを取り入れたものがコンテンポラリーダンスと言える。
それ自体に確立されたメソッドがあることは少ないが、様々なスタイルが取り入れられているため、複数のテクニックに精通していることが求められる、本来なら高度であるはずのダンス。
しかし何でもアリとも取れる使い勝手の良い名前のため、無法地帯化している側面も大いにあるダンス。
踊りの特徴は、予期しない動き、フロアワークやインプロ(即興)多め。
(一概には言えません。振付家によって本当に様々です。)

 

よって、モダン・コンテンポラリーダンスとは、踊りの特徴に対してつけられた名前ではなく、考え方や取り組み方に対してつけられた名前であります。

知る事の意義。知ってるともっと上手くなる!おもしろくなる!

私は「アートを楽しむのに知識なんて要らない!」と思っており、それについては過去の記事にて述べさせて頂いてきました。

・抽象的近代・現代アートの楽しみ方 ~一人突っ込み漫才~ 知識なんていらない! 

(でも知ってると面白さ倍増しますよ、という事で⇩2つ)

・超簡単アート史・西洋美術史 前半 〜ほぼ神の事or写真代わり〜 
・超簡単アート史・西洋美術史 後半 ~オリジナル探求し過ぎて便器まで出てきた近代・現代アート~

しかしそれはあくまで、”観る側として”、です。
私自身がダンサーであること。またアートはアートでも、絵画や彫刻などに比べてダンスの需要は低く、ダンサーがダンサーとしてお金を稼げない現実があり、その理由はダンサー自身のダンス教育における質の低さにも起因しているというのが私の見解です。なので、ほんの少しだけ掘り下げてお話させて頂きたく思います。以下全て、「もっと早くから知っていれば良かったのになぁ!」という私の経験談からです。

<知ってるともっと上手くなるし、観るのももっと楽しくなる>

別に知識なんて無くても、中には天才的に上手い人はいますし、ある程度までなら皆そこそこ上手くなることは出来るでしょう。しかしそのダンスへの知識があると、それはもう飛躍的に伸びます。
また、観る側としてもシンプルに動きを楽しむ事も出来ますが、基礎的な知識があると、鑑賞における楽しみも増します。(サッカーやアメフト観戦ならルールを知らなくても、大の大人たちがたった1つのボールを必死に追いかけている姿に興奮出来るし楽しめますが、やっぱり知っている方が断然おもしろいですよね!?)

例えばバレエだと元は宮廷内での宮廷貴族ダンス。だから所作や衣装や振る舞いに、ひじょーーーーーに品があるのです。「私は高貴な貴族よ。」と思って踊るのと、「ワテ生まれも育ちもコテコテの大阪民ですねん。(私)」って思いながら踊るのでは、明らかに踊り方に差が出ますよね。笑 後者では、あの貴族らしいとってもお上品な振る舞いは出来ないでしょう。(ごめんなさい大阪)

(SLEEPING BEAUTY, STATE BALLET THEATRE OF RUSSIA)

もう一つ例を挙げると、ロックダンス。始まりは、パフォーマンス中に次のフリを忘れたDan Campbelがごまかす為にお客さんの事を指さして、観客の注目を彼女に集めた事からです。”ポイント”というロックダンスの代表的な動きには、「ヘイ!そこの君!」という意味があったんです。その後も、「次はお前の番だぜ!」のように、ちゃんとコミュニケーションの意思を伴った動きでした。このことを知って、明確な意思をもって何か/誰かにポイントするのと、あちこちに無意味にランダムにポイントするのでは見え方が変わってきますよね。

(ロックダンスの創始者Dan Campbel)

私はこれらを知ってから、ぐっと成長したのを実感しました。

それと一緒で、今皆さんがされているダンスの事、振付師、創始者、さらにその人の師匠、歴史、ルートを知る事は、一つ一つの動きにより深みをもたらします。「なぜこれをするのか。」「このエクササイズは何の為なのか。」が分かれば、そのダンスの習得にも拍車がかかります。

例)
「○○先生は元々は*ホートン出身プラス、ヒップホップ好きな先生だから、作品は力強くダイナミックでテクニックすごいけど、且つリズムや*アイソレーション多めでより複雑、今時な感じでもあるんだな。
ってことは、この先生の作品を上手く踊りたかったら、ホートンとヒップホップの技術もつけなきゃ!あ!そういえば先生のクラスではホートンっぽいウォーミングアップあるかも!いまいちよく分からないままいつもやってたけど、これからは理解してしっかりそのウォーミングアップやろう!」

*ホートン:モダンダンスの一種。特有の力強い動きがある。強靭な身体。
*アイソレーション:身体のそれぞれのパートを別々に動かす事。 

ここで、ホートンやアイソレーションが何かを知っていなければ、このような今後の考え・計画・作戦にさえ至る事は無く、成長の伸びしろは知っている場合と比べて非常に少ないでしょう。

また、「何でこのダンスを作ったのか」を理解すれば、作品に対する姿勢も明確かつ作り手の意図に沿ったものになり、単なる上辺の動きや顔だけマネして理解した風ではなく、もっと深い所で繋がる事でしょう。

⇒目的/ゴールを知った上で練習するのと、知らずに言われたままの事をただただやるのでは習得度合いに差が出てくるのは何でも同じです。

例)私が実際にNYで見たもの。
とあるダンサー「(心の声:感情表現しなきゃ!)先生!このシーンはどういう気持ちで踊れば良いですか?頑張って考えてみたんですけど分かりません。。」
振付師「ん?俺の作品には感情なんて何もないぞ。それより俺は流れる自然な動き自体に美を感じているんだ。無駄な装飾をするのはそれを妨げるから止めろ。」

この先生の作品を上手く踊る為には感情表現の練習なんてせずに、ただただナチュラルな動きに磨きをかける練習に集中すれば良いのです。作り手の事、意図やルートを知らないと彼らの意に沿った踊りが出来ないし、無駄な時間を取られるし、振付家からの評価も下がってしまいます。

なのでダンサーとして、特にモダンやコンテンポラリーダンスをしているのならば、ダンスの歴史について知る事は非常に大切です。

まとめ

以上、モダンとコンテンポラリーダンスはそのルーツから一見似ている事もありますが、取り組み方や時代が違います。現在はコンテンポラリーダンスの方が人気になってきていますが、コンテンポラリーダンスをするならばモダンダンスのテクニックの習得は世界レベルだと必須レベルで重要視されています。
知ってると、上手くなるし楽しみ方も増えます!特にダンサーなら、知っておきましょう!

モダンダンスとコンテンポラリーダンスシリーズは全4回です。

予告:

  • モダンダンスとコンテンポラリーダンス② ~モダンダンスとは~ 日本語初・主要ダンスまとめwith動画。
  • モダンダンスとコンテンポラリーダンス③ ~ポストモダンとは~ ダンサーっぽいのナシで

  • モダンダンスとコンテンポラリーダンス④ ~コンテンポラリーダンスとは~

なので、ぜひぜひ次回以降の記事も読んで頂きたいなと思います☆

 

この二つのジャンルは線引きが曖昧で、まだ例を全然出していないのでよく分からないかもしれませんが、次回以降で例をあげながら紹介させてもらうつもりです☆ですので今日はなんとな~く、全体像だけぼんやりと入れておいて頂けたらと思います!

 

ちなみに私のお気に入りモダン・ダンスは、ホートンです。すごく身体が強くなりますよ!

 

ありがとうございました☆

良い一日をお過ごしください☆

Have a good one!

Aika.

モダンダンスとコンテンポラリーダンス② ~モダンダンスとは~ 日本語初・主要ダンスまとめwith動画。

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モダンダンスとコンテンポラリーダンス① ~特徴&知る意義~

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Sara Pizzi ~Artists who change the world~

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3月 31, 2022 0 comment
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ARTDANCE

Sara Pizzi ~Artists who change the world~

by Aika Takeshima 9月 8, 2021
written by Aika Takeshima

Table of Contents

Hello everyone.

This is a series of 

“ARTISTS WHO CHANGE THE WORLD”

The first artist for this series  is a conceptual dance artist Sara Pizzi based in NYC from Italy.

When I had the interview with her,  I really amazed by how thoughtful and smart she is, how important the art is to her, and how influential she will be to this society.

This is the beauty and  power of art.

My impression of you is: You are so passionate and decisive in general, but at the same time, you are good at taking care of and dealing with various people. Why? & How?

This is a really accurate question for me, but I have to say that “All that glitters ain’t gold”. I struggle too. About dealing with a lot of people, I’m naturally inclined to help people, I’m generous, I’m a listener. Maybe because the goal of my life is “to inspire people”, so If I can help someone on a small scale or on a bigger scale this makes me happy and peaceful with myself. At 22 years old, I acknowledge that everyone is dealing everyday with their own battles and struggles: everyone deserves a safe place to be listened to, supported, and helped. About dealing with different schedules, employers, work partners: everyone is different, everyone has different strengths and weaknesses, everyone has different opinions and work strategy: the best role I can assume is to accommodate each person’s needs and ways to communicate to achieve the common goal in the most efficient way. 

What do you want to do through your artwork? Why do you create things?

“I don’t think about art when I’m working. I think about life” as Jean Michel Basquiat said, I totally resonate with it. The reason why I create “things” is because I feel in need. The same sensation when you are in front of a mesmerizing sunset, and you feel the need to take a photo. I feel the urge to freeze a sensation-a concept and make it live longer. Giving it more space to exist, breathe, let other people see it, remember about it, think about it. So, this sensation would not live for granted. And this is what I want my art to represent: a documentary of life to preserve the hidden beauty, to let people reflect about our reality, what is in need to stay untouched, and what should be changed. 

Tell me your art style

I am what I dance. My dance is my discovery of my daily range. I’m a product of society, I’m a mirror of my surroundings, I’m an on-going documentary that reminds people to not forget. My art is not beautiful, it is real. It is my social action as a reaction to this world. I don’t want to label my voice, there is nothing to identify: it is only me and my movement that express how I see the world. I can only affirm that there is observation, acceptance, diversity, listening and layers of analysis and comprehension.

You have too many projects at the same time, which I can't handle. How do you manage your schedule? Any tips?

I write down all my projects on a written paper and I see which one has the priority. I try to work on it every day according to all the other commitments I have. All the time I have available I use it to end each project: working at one project one at the time helps me to be more focused and productive. I found interesting and intriguing how the concept of time is remarkably related to the quality and productivity of work: when I feel I have too much time I tend to procrastinate and to overthink about the project. If I have too little time, I tend to let the creativity die by replacing it with the “safe place”. Finding the right balance of having enough time (not too little, not too wide) helps me to produce work with the higher quality. Regardless of the time, no matter the quantity of work, my biggest battle is to not fall into anxiety: therefore, I’ve never taken everything all at one. One thing at the time: we cannot climb a mountain all in one, we can just do one step at the time and with patience we are going to arrive at the top. 

Tell me your struggles or hard things in your life. Is there something that has helped you now?

The biggest struggles in my life are confidence, lacking in love for myself, trust in my ability, and appreciating my qualities. The hardest thing in my life is repairing a broken heart, dealing with people and emotions, to not let external forces influence me in a negative way, to be my own inspiration, light and strength. Those are the things I’ve been dealing with every day since I’ve remembered and still sometimes I’m struggling. The biggest help I’m receiving to overcome those is the help and support of my beloved ones. Knowing I have a small but supportive family, a partner with whom I can share my life along with my thoughts, concerns, needs, makes my soul calm, and loved. Being surrounded by amazing, strong, and inspiring dancers, they remind me that every day everyone is dealing with their own battles, and we are here to help each other. In another hand, when it is a bad day, when people behave to me in an unclear and rude way, I arrived at the realization that it is not necessary my fault: everyone is stressed for other reasons, has their own traumas and past experiences, own battles and daily struggles, specific reasons and needs. The only way to survive is to help each other, understanding, not judging people and yourself too hard. 

Why did you decide to do your artist work in NY?

I did not choose New York, this city chose me. The reason why I’m in NYC is because four years ago a talent scout deduced, I had passion and talent enough to continue and drastically improve my dance studies in one of the biggest and most dreamed cities of this world. The reason why I’m staying is because I’m feeling free to expose myself, to risk, to try, “to connect, disconnect and reconnect”. I projected my intentions and people answered, arriving after four years dancing in NYC, being surrounded by different artists who share my mission that want to create art together. Here I understood my past, I’m seeing my present and I trust in my future. 

What is your dream as an artist and as a person?

My dream is to inspire people with my behavior and my art. Let people reflect, to take a moment to think, to change opinion, to question themselves or to find clarity. Making a shift. Something we are always going to need is the need for change, and I want to be part of this change. I want to remind people that something is in an urge to change, and some others will always stay the same. Remember to not forget. Forget to change. Accepting the manifestation of becoming. An art that should not give answers but create questions. Art for and to people. Extinguish the barriers between art and reality. 

Closing

My dream is to inspire people with my behavior and my art.

Sara Pizzi

This is very powerful.

This is art.

I am sure that this real artist, Sara Pizzi, is going to keep inspiring us, this world forever.

 

 

Thank you for reading! I hope you enjoyed and got inspired by her!

Please stay tuned for the next artist!

 

Aika Takeshima

9月 8, 2021 0 comment
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ART

超簡単アート史・西洋美術史 後半 ~オリジナル探求し過ぎて便器まで出てきた近代・現代アート~

by Aika Takeshima 6月 7, 2021
written by Aika Takeshima

こんにちは。

今回は、画家それぞれの個性が爆発しおもしろくなってくる、カメラ誕生後のアートを見ていきたいと思います。
(いわゆる、複雑で難解で意味が分からないと言われるものです。汗)

まず前提として、
私達人間は皆いつの時代も、より美しいものや良いものや新しいものを求める生き物です。

「もっと美しく!」
「もっとかわいく!」
「もっとかっこよく!」

新しい髪型、メイク、ファッションなどもそのうちですね。

もちろん、芸術家もです。彼らはいつも真剣にそんな事を考えています。

ルネサンスが終わってからカメラが発明されるまでは更なる美を求めて、既にあるものよりすごいものを作りたい一心で、

「これが良い!」
「やっぱこっちの方が良い!」
「いや、昔に戻ろう!」
「やっぱダサいな!」

などを繰り返しつつも、歴史画、肖像画、静物画、風俗画、風景画がリアルに描かれ、アートは(主に絵画)写真の役割をしていた時代でした。
(前回の記事でお話していますので、まだの方は是非こちらもお読みください☆)

超簡単アート史・西洋美術史 前半 〜ほぼ神の事or写真代わり〜 | Aika Takeshima

しかしカメラの発明後は、リアルさを追求したってカメラには敵いません。

なので彼らは単なる美ではなく、

カメラには出来ないアーティスト自身のオリジナルの”何か”

を探し求め試行錯誤していきました。

そのオリジナルの”何か”の中に、もはや美とかではなくてアーティスト自身の内面の表現だったり、何か新しい方法やそもそもの考え方などがでてきました。

幾何学や精神医学や心理学や哲学など、皆何やら考えに考えた結果、しまいには特に何も表現していなかったり、「無」を描くという境地にまでたどり着くこともありました。
⇒意味の分からないアートの始まり。

とにもかくにも、全てはすごく考えた結果!ちゃんと、というか考え過ぎじゃない?という位考えていた、ということだけでも知ってもらえると、今日のこの記事の8割はゲットしたようなものです☆

考えられ過ぎてもはや見ただけでは誰も理解できない作品たち。

しかしその作品やスタイルが出来た経緯を知ると、

・「お~~!!そんな考え方があったのか!」と新しい考え方を発見する事が出来ます。

・特に何も表現していない、答えのない作品などについては、自分の想像力を発揮して自由に楽しめます。

これらが、よく分からないアートの醍醐味であります。
(以下の記事にて、知識なんてなくても全然良い、意味分からない系アートの楽しみ方も書いていますので是非こちらもチェックしてみてください☆)

アートの楽しみ方 ~ 近代・現代 抽象的作品でも、知識なんて要らない!一人突っ込み漫才~ | Aika Takeshima

でも少し知っているだけで楽しさも倍増するので、カメラ誕生後のアート、いわゆる近代(モダン)アートや現代(コンテンポラリー)アートと言われている19世紀後半以降のアートを、今日は少し見ていきますね。

目次

▽”見えるものを”印象(Impression)VS ”見えないものを”象徴(Symbol)で表現

17世紀中ごろからずっと美術教育を司っていた芸術王立アカデミーの形式が、
「古典的で古臭い」(古典=ローマやギリシャやルネサンスのスタイル)
として、19世紀後半に反発が起きていました。

その中に、印象派と象徴派がありました。

この2つはほぼ同時期に行われており、それぞれ後の様々なスタイルに影響していきました。枝分かれのそれぞれの一番最初です。

<印象派:見えた光を忠実に。>

印象 日の出 by クロード・モネ
睡蓮 by クロード・モネ

印象派は、目で見た一瞬の光の移ろいなどの”印象を”忠実に捉えようとしました。

なので素早く描かれラフなタッチ、
かつ非常にまばゆい色彩が特徴です。

丁度チューブ式絵具が開発された事もあり、絵具を外に持ち出して外で描けるようになったという理由もあります。

印象派は、

  • アトリエではなく屋外で描く
  • 風景画
  • ラフなタッチ
  • 絵具を混ぜない

など、それまで絶対とされて来た伝統と反対の事をしたため、アート史において非常に革新的で重要です。この後のアートの大きな転機となりました。

<象徴派:見えない人間の内面を象徴的に描き出そう>

象徴派は芸術の伝統だけではなく、当時の物質至上主義社会(精神的な事よりモノや金をたくさん持ってるのが何より大事という考え)に、強く疑問を持っていました。

でも、「それは違うのではないか?もっと人間の内面に目を向けようよ。」

ということで、人間の苦悩や不安や夢などを、神話や文学や何かを用いて連想させ、間接的に表現しました。

象徴とは「平和の象徴は鳩」というように、何か形のないもの(平和)を具体的な何か(鳩)で表現することです。
なので、形のない目に見えない人間の内面を、具体的な何かを用いて表現したこのスタイルを象徴派と言います。

2つ、例を見てみましょう。

出現 by ギュスターヴ・モロー

この女性(サロメ)は、男性を翻弄する女の象徴として何度も描かれます。

キュクロプス by オディロン・ルドン

巨人族が海の妖精ガラテイアに恋をするというギリシア神話を用いて、叶わない恋心を象徴的に表しています。

以上、
・印象派は目に見える現実を新しい方法で忠実に表現するということで、後のフォービズム(色の新しい使い方)や、キュビズム(視点を増やした)に繋がっていきます。

・象徴派は、目に見えないものを表現するということで、後の表現派や抽象派に繋がっていきます。

このように、アートは過去から現在、現在から未来へと、どんどん進化しながら繋がっていくものです。

なので、その繋がり等にも注目してみると、
「あ~だからかぁ!先輩がこの人だったから、ちょっとその先輩っぽい所もありつつ新しいんだな!」とか、
「これに反発した訳ね!」と分かり、更に理解が深まっておもしろくなります☆

では、次を見ていきます。

▽感情論の表現主義、色を変えたフォービズム、形を変えたキュビズム

<表現主義:画家自身の感情>

英語にする方が分かりやすいと思うのですが、
先ほどの印象(Impression)と
この表現(Expression)は、
反対の対照的な動きでした。

印象主義が物事の外見(光など)に注目していたのに対し、
表現主義は画家自身の主観的な感情や心の反応でした。

人間の心の内部という面では象徴主義と同じですが、象徴主義のように何か既存のものを用いて間接的に表現するのではなく、オリジナルな表現で感情を表していました。

叫び by エドヴァルド・ムンク

突然聞こえてきた叫び声による不安と恐怖が表現されています。

「私は二人の友人と一緒に道を歩いていた。日が暮れようとしていた。突然、空が赤くなった。私は立ち止まり、疲れを感じ、柵によりかかった。そのとき見た景色は、青黒いフィヨルドと町並みの上に炎のような血と舌が被さるような感じだった。友人は気にせず歩いていたが、私は不安に襲われてその場に立ちすくんだ。そして私は自然を通り抜けていく無限の叫び声を聞いた(感じた)。」   ムンクの当時の日記より。

死と乙女 by エゴン・シーレ

彼本人と恋人を描いたとされる彼の代表作。

自分のせいなのですがドロッドロの恋愛劇を繰り広げて、
自分のせいなのですが愛する恋人を離さなけばならなくなった、、
でも離したくない、、でもその恋人は去っちゃう、、、
自分のせいなんだけど、、、という葛藤が表されています。

彼については映画にもなっているので是非観てみてください☆どうしようもない人だったようですが、とにかくイケメンです。

超絶美青年だけどゲス。天才画家エゴン・シーレを演じた男優の禁断の美 (elle.com)

<フォービズム:色彩の自由な使い方。色の革命。>

元々は印象派だったり、印象派に大きく影響を受けながらも独自のスタイルを追求していたゴッホやゴーギャンは、原色をメインに、激しく大胆に、力強い作品を描きました。

それまでとは違い、色の持つ力をより信じ、色使いに自分の感性を少し取り入れてみたのです。

つまり、元の色にとらわれず、自分の感性で自由な色の選択を少し取り入れていました。
以下3枚とも、本当の夜空や肌の色とは少しだけ違うのが分かるとおもいます。

星月夜 by フィンセント・ファン・ゴッホ
夜のカフェテラス by フィンセント・ファン・ゴッホ
我々はどこからやってきたのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか by ポール・ゴーギャン

この流れを引き継ぎ、全っ然違う色を使い始めたのがフォーヴィスムの画家たちでした。

彼らは、空と言えば青とか砂浜と言えば白とか、そんな常識を取っ払い、描きたいものを自分が感じる色で自由に描きました。

全然違う色で描いて良いなんて誰も思っていなかった時代にそれをやりとげた彼らのこのスタイルは、新たなアートの可能性を開けてくれた非常に重要な革命的出来事でした。

特に以下の作品の作者アンリ・マティスは「色彩の魔術師」と呼ばれており、色の持つパワーを信じていました。
なので、たった3色しか使っていない絵でも非常に躍動感あふれる力強い作品を生み出しました。

緑の筋のあるマティス夫人
帽子の女

実際はこんな色の人はいませんよね。

ダンス

これなんて、たったの3色です。

<キュビズム:多視点。形の革命。>

印象派のグループの中に、セザンヌという人がいました。
彼は次第に「印象派は光に固執し過ぎて構図がおろそかになっている」とし、印象派の色彩表現の美しさは引き継ぎながらも、独自のスタイルの追求をしました。

そして、これまでにない遠近法や、複数の視点を使う空間表現を編み出しました。

リンゴとオレンジのある静物

よく見たら、斜め上から椅子を見てるはずなのにその割には微妙に食器の角度が現実にはありえなかったり、さりげなくですが別の角度や別の視点から見た物たちが混ざっています。

以下の動画で分かりやすく説明してくれていますので是非見てみてください。

この影響を多大に受けたのがジョルジュ・ブラックとパブロ・ピカソ。

彼らは1つの視点から書くというそれまでの常識を完全にぶっ壊し、様々な角度から見てバラッバラに解体し、そこから自分たちで一つの作品の中に再現しなおすという全く新しい手法を取りました。

それは、三次元のものをいかに二次元で正確に表現するか、を追求しようとした結果です。(単なる落書きじゃなかったんですね。)

例えばサイコロを正しく表現するには、今見えている数面(多くて3面)を描くだけで良いのか、いや、それでは六面あるサイコロを正しく表現した事にはならない。なので展開図にします。

しかし広げただけでは、キューブ状である事は表現できません。

なので、なんとなくキューブのカタチにあわせつつ組み立てなおして、そのものの本当の姿(六面あってそれぞれ数字が書かれていてキューブ状)を忠実に表そうとする考えです。

ですので⇩の作品のように、なんとなく女性とかギターであることは分かるけども顔面や身体やギターが分断されているように見えたりするのです。

アヴィニョンの娘たち by パブロ・ピカソ
水差しとヴァイオリン by ジョルジュ・ブラック

視点を増やすなんて誰も考えもつかない事をした彼らの功績もまた、アートかいにおける大きな革命的出来事でした。

これら色と形の革命は、より自由な発想、色や形の美しさを強調する抽象芸術全般に繋がっていきました。

▽抽象主義 分からない系アートのスタート

きました抽象!分からない系アート!

なぜ分からないって、

表現してるものがそもそも特にないからです!

ないのですから、考えても答えが出ないのは当たり前です。元からないのです。

これまでは、目に見えないものであれ、”不安”とか、何か具体的な物事を表現してました。たとえ色や形を変えて見た目には何か分からなくなったところで、一応”女性”や”ギター”を描いていましたね。

でも抽象画は、対象そのものを排除しました。すごく簡単に言うと、

「特に何も表現しなくても、色彩や線や四角や丸など形だけで心動かされる程美しい。いや、その方が美しくそれこそが本物の芸術である。」

という考えです。それでは2大抽象アーティストを見ていきます。

<ワシリー・カンディンスキー>

教授、理論家でもあった抽象絵画の父と言われているワシリー・カンディンスキーによる抽象美術理論は精神額や神智学も入っており非常に難解です。

しかし彼がこの考えを出したきっかけは以外とシンプルです。

「若い時に見たモネの作品が一体何を表しているのか分からなかったけどすごく美しく感じた。」

「すごく良い!と思った作品が、自分の作品が逆さまに置かれていたもので、自分のだと気づいたら良さが分からなくなった、、」

という、彼自身が分からないものに感動を覚えたからです。

彼は色や形を「響き」として、まるで音楽を奏でるかのように使い、自分の内面に感じるイメージ等を描きました。

なので彼の作品は絵なのに何故かリズミカルで、個人的に私の一番大好きな画家でもあります。

Black Lines
コンポジション8

<カジミール・マレーヴィッチ>

彼はテーマや対象などあらゆるものを排除して抽象的な美を突き詰めた結果、絵画とは対象物を描かなけらばならないというルールからの解放、つまり「無」を表現する「シュプレマティズム理論」を創設しました。

カンディンスキーも、特に具体的なものではないですが何かイメージとか自分の内面とか精神的なものとかそういうものを描いていました。
しかしマレーヴィッチは、

もう、そもそも何も表現しない!!!!

その結果が、こちらです。

黒い正方形

これはもう大衝撃です。「アートってそんなんで良いの!?」という、常識を引っくり返してくる出来事でした。

皆、何かを表現するのが芸術だと思っていました。
たとえ見えない何かでも、たとえ変な色使いでも、たとえバラバラのグチャグチャになっても。
特に具体的なものでなくても、カンディンスキーのようにおしゃれな絵でした。

それが、これです。これこそ本当に誰でも書けるじゃないかと。
しかも「無」を表している。。。

これが、「もう何でもアリなのか?」というような謎のコンテンポラリーアートブームに大きな影響を与えたのでした。

ちなみに彼は様々なスタイルを学んだ上で行きついた先の、このスタイルですので、絵が下手な訳ではありません。⇩のようなキュビズム的な作品や、印象派のような作品も発表しています。

M・V・マチューシンの肖像

▽もっと分からないアート=考えさせるアート

この後のアートからは、

作者と観る人の対話で成り立つ

作者の問い(作品)に観る人が考える

観る人が価値を与える/答えを出す

 

という潮流になってきますので、分からないが加速します。

例として、こちらをご覧ください。

泉 by  マルセル・デュシャン

男性用小便器にサインしただけのものです。考えても、作者は答えを教えてくれません。そもそもないのです。観る人が考え続けるしかないのです。

このように、アートの目的自体が考えさせる事になりました。
「人々に問いかける、考えさせるのが芸術の新しい形」のスタートです。

観る人の目よりも脳に刺激してくるようなアートです。

ちなみにこのようなものを、“コンセプチュアルアート(概念芸術)”と呼びます。

ちなみにこの頃は第一次世界大戦の時代で、デュシャンはこの愚かな戦いを止めれなかったそれまでの文明に不信感を持ちました。そこで、美とはあえて逆の便器を使うことで文明ごとひっくり返し、新たな文明の模索を試みたという意図があります。(作品に答えは無いですが、作られた経緯は意外とずっしり重いものがあったんですね。)

こういう、もはやアートかすらも分からないものを見た時は、是非とも好き勝手にストーリーや意図などを考えちゃって下さい☆
楽しみ方は以下の記事に書いてます☆

アートの楽しみ方 ~ 近代・現代 抽象的作品でも、知識なんて要らない!一人突っ込み漫才~ | Aika Takeshima

▽アートの大衆化~現在

さて、1950年頃からは逆に、庶民にも分かりやすい目で直観的に楽しめるアートも、技術やテクノロジーの発展と共に盛んになってきました。

バババっと見ていきます!

<アクション・ペインティング>

抽象アートの一部なのですが、こちらはキャンバスを床に置き、絵具を振り散らすというライブ感があり、見た目も鮮やかで難しい事抜きにおしゃれです。

Mural by ジャクソン・ポロック

<ポップアート>

広告や新聞といった大衆文化の代表的なイメージを利用したポップなアート。

マリリン・モンロー by アンディ・ウォーホル

<ランド・アート>

luminous earth grid by スチュアート・ウイリアムズ
ライトニングフィールド by ウォルター・デ・マリア

<体験型アート>

レアンドロ・エルリッヒ スイミング・プールのように、観る人が中に入ることで楽しめるアートです。

<プロジェクションマッピング、漫画>

テーマパークや大規模な駅など、近年急速に盛り上がってきているプロジェクションマッピング。
また、日本が誇る漫画も展示会が行われていたりと、アートとしての価値を見出してきていますね。

▽終わりに

いかがでしたでしょうか。すごく長くなってしまいましたが、ここに書いたのはほんの一部です。

19世紀後半以降は資本主義、様々な技術、交通網の発展、万国博覧会などがありました。

よって、アートがリッチな人だけでなく一般市民にも広がり大衆化。
また個人の自由が出せるようになり、移動が簡単になった事で国内外のアーティスト同士の影響が活発化。

19世紀後半以降は、今日見てきたようにアートがとっても目まぐるしく激変し続けました。

なのでなるべく端的に、おもしろくて重要なとこだけをお話してきたのですが、さすがに量が多すぎて、少し皆さんを疲れさせてしまったかもしれません(^^;)

しかし!!!

現在はインターネットのみではなく、SNSやzoomやなどオンライン配信サービスにより、もう世界の物理的な垣根が極限にまでなくなってきました。

世界のどこからでも授業を受けれるし、一緒に作品も作れるし、オンライン上でのオンラインだからこそできる作品が生まれたり、、、

(私も作りました。⇩)

‘BLOCKS’ – JOINING STYLE PERFORMANCE

「アートって、自分の作品って、誰の為のもの?」 「参加型パフォーマンス」と名付けられた、今までの常識を覆した新しい形のオンラインライブパフォーマンス。
Click Here

よって、アートは(アート以外もですが)更に目まぐるしく進化&変化し続けています。

本当はもっと多くてもっと哲学的で難しかったりするのですが、

「楽しむのにそこまでの知識は要らない。アートをもっと身近に!」

というのが私のモットーなので、ここまでにしておきます☆

冒頭にも述べましたように、

「アーティストそれぞれ自分のベスト、
どこにもないオリジナルを作る為に考えに考えて、
固定概念を取っ払い続け、
新しい色んな方法や考え方を編み出していっていたんだな。」

ということだけ抑えて頂けたら十分です☆

アートは社会と共に、アーティスト同士刺激し合いながら常に進化・変化していきます。
なので、これからもどんどん色んな作品が出てくるでしょう。とても楽しみです☆

 

今回の「超簡単アート史・西洋美術シリーズ」は、超簡単と言いつつも大事なつながりや、アートを楽しむ為の情報などはしっかり入れました!

なのでこれさえおさえておけば、もうどこのギャラリーや美術館でも、次に行かれる時は楽しさが倍増しているはずです☆

皆さんのお役に立てる事を祈って、本日はこれにて失礼致します☆

 

「アートの力で、一人でも多くの人が生きやすくなる社会を目指して!」

 

ありがとうございました☆

 

Aika.

6月 7, 2021 0 comment
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ART

超簡単アート史・西洋美術史 前半 〜ほぼ神の事or写真代わり〜

by Aika Takeshima 5月 19, 2021
written by Aika Takeshima

こんにちは。いつもありがとうございます。
ダンスアーティスト/ライター/活動家のAikaです。

本日は、「アートがもっと楽しくなる!」ために、西洋美術史を超簡単に!分かりやすく!
大事なポイントのみに絞って解説している記事です。

・・・

しかしその前に、一つ覚えておいて頂きたいことがあります。

それは、

「別に美術史なんて知らなくても、アートは楽しめる!」

ということです。(以前の記事参照⇩)

 

アートの楽しみ方
~ 近代・現代 抽象的作品でも、知識なんて要らない!一人突っ込み漫才~ | Aika Takeshima

 

でも、

「ピカソなんて落書きだ。天才と言われるのは全く分からない。なんで?」

などと感じる(感じたことがある)方もいらっしゃると思います。私はずっと思っていました。

美術史を知ればそういう所が分かるので、同じ作品を見るのでも見方や感じることが倍増し、奥深くなり、更に楽しくなります。

ですので、上記の記事をお読み頂いて興味が出てきた方も、初めましての方も、是非このまま読み進めてみて下さい☆

目次

▽アート史の流れ ~何を表現していたか~

アート史の流れを、表現していた対象に注目してざっくり表すと、以下のようになります。
(*例外はどの時代にもあります。)

① 神または神に関する事 信仰心の現れや布教目的

② 神じゃなくて現実(たまに想像) 
    歴史・肖像・風景・日常の事などを超リアルに。⇒写真の役目

③ 現実だけども、カメラには出来ない事(カメラの発明後)
    =目で見たそのままではない表現方法の探求。
     何かの一瞬の印象や、何かを色んな角度から見て一つの絵にするなど。
     画家の個性の出現。

④ 対象が、人/風景/心情/出来事などの具体的に「これを表現しました!」というはっきりとした物事じゃなくなる。つまり「答え」がない。「作者と観る人の対話」観る人に考えさせる。=抽象アートの始まり

⑤ キャンバスや筆以外にも様々なものを用いだした、非常に多様な現在。

 

④の抽象アート以前は、割と楽しめる方が多いのではと思います。


特に①②は聖書のワンシーンや歴史上で起きた出来事、事件のストーリーが隠れていて、それを知るのもミステリー感覚でおもしろいです。それ以外にもその当時の日常や風景を知れますし、単純に、「画力がすごい!!!」となるからです。

③になってくると、ぼやけだします。

④になると、もう訳が分からなくなります。

⑤はなんだかエンターテインメントやテクノロジーも入ってきてにぎやかになります。

今回はアート史においてとても大きな節目であったカメラの発明以前までのアート(①②)を、どのように影響し合ってるのかにも注目しながら簡単に見ていきます。

小難しい事は書いてないので気楽に読んで見てください☆

(*年代は諸説ありますので、流れの目安として見て下さい。)

▽①神または神に関する事 紀元前エジプトからルネサンスまで

<エジプト美術>  紀元前3000年~紀元前332年


「これが私達の神々ですよ」と皆が分かるように、神々を信仰する為の具体的な象徴、イメージが必要だったのと、神々への崇拝心を現す為に美術が用いられました。

王は神の子とされていたので、王に関する事が描かれたり王の墓ピラミッド等が作られました。
顔と足先は横向きだが身体と目は正面向きという奇妙な特徴にも、「目は神とされていたから崩すことが出来ない」という理由や、「その角度の方が適格に対象を現す事が出来ると考えた」という理由がちゃんとあったそうです。

これは3000年間、厳格にルール化されました。

(私はアート史を知るまで、当時の人が単に絵が下手だったんだと思ってました。)

<ギリシャ美術> 紀元前2000~紀元前31年

ラオコーン

 

こちらも神々の象徴の為だったのですが、ギリシャ神話の中の神々は非常に人間っぽいです。(妻の目を盗んで浮気をくりかえすなど)

なので、表現される神々はエジプト美術のものよりもっとリアルさや美しさが追求されました。

よりリアルに表現する事で神を正しく表そうとしました。この時代は彫刻や建築が主で絵画はあまり残っていません。

<ローマ美術> 紀元前700年~5c

プリーマ・ポルタのアウグストゥス像

ギリシャ美術が入って来て大流行。

高く評価され、たくさんコピーが作られました。
これをローマンコピーと言います。

このおかげでギリシャ時代の作品が広く拡散され、ギリシャ•ローマの美術が美の規範(美といえばこうだろう!これが基礎だろう!というような考え)となっていく事に大きく貢献しました。

ギリシャ時代のオリジナルはほとんど現存しておらず、現在展示されているものの多くはローマ時代にコピーされたものです。

また、ローマ時代は宗教にあまり縛られていませんでした。
なのでよその国のギリシャ神話を表したギリシャ美術でも、「良いじゃん!!」と、どんどんコピーするし、神以外の事(肖像、風景、風俗)を表現した作品もこの時代にはありました。

<キリスト教美術(初期~中世~ロマネスク~ゴシック)> 3c~15c頃

ウラディミールの聖母
福音書記者聖マルコ像 アダの福音書
栄光のキリスト
シモーネ・マルティーニ “受胎告知”

文字が読めない人にもキリスト教を普及する為に、聖書のシーンがたくさん描かれました。

しかし神は人間を超越した神聖過ぎるものだからという理由により、当時は神を具体的にカタチに表す事は禁じられていました。

しかしやはりカタチにしないと、特に文字が読めない人達への普及は難しい。

なので、絵にも細心の注意が払われ、あえてリアルさ、人間っぽさを欠くように描かれました。
普及目的にたくさん必要だったので簡略化されて描かれたという理由もあります。

<ルネサンス> 14〜16c

ラファエロ “聖母戴冠の祭壇画”
ミケランジェロ “ピエタ”
レオナルドダヴィンチ “最後の晩餐”

ギリシャ・ローマ文化の再興。(⇐人間っぽいリアルな作品でしたね)

それまでは「人間は神の為に」という神中心の時代だったのが、
「人間は人間らしく生きて良いんだ」という人間中心の時代に。

しかし描いていたのはあくまで神や神に関する事(=宗教画)。

油絵の出現や遠近法の確立により、ギリシャ・ローマ時代のものより更にリアルで均衡のとれた、完璧な超絶技巧の作品が特徴。

<マニエリスム> 16C 

パルミジャニーノ “長い首の聖母”

作品に個性や奇抜さが表れました。

それまでの”神ばかり”を表現していた時代と、これからの”それ以外”を表現し始める時代の間にある時期です。

ルネサンスで完成された完璧な技術や様式を取り入れつつも、それだけでは単なるコピーで偉人(レオナルドダヴィンチやラファエロやミケランジェロ)を超える事は出来ません。

なので動き・身体のバランスやポーズ・構図(左右のバランスや遠近法)などをもっと大げさに複雑に書いてみたり、あえて無視して不自然に(やたらと首が長い等)描いているのが特徴です。

以上が①です。作風は変われど、とにかく神、神、神ばかりです。
同じ聖書のワンシーンも、時代や作家によって全く違うのでそこを見るのもおもしろいと思います。

▽②現実や想像の世界を超リアルに。⇒写真の役目

<バロック>  16c末~18c初頭 

カラヴァッジョ “聖マタイの召命”

キリストが、徴税所という日常的な場所に現れてマタイを呼び出すシーンです。

ピーテル・パウル・ルーベンス “キリスト昇架”

大げさです。(←バロックの特徴) 
人1人運ぶのに何人のマッチョが必要なのでしょうか。

聖書の話を人々の日常に入れて描いてみたり、
静物画(人ではなく物)・風景画・風俗画(日常の事)・肖像画など神以外の事を描き始めました。(1100年程前のローマ時代ぶり)  

背景には、教会の権力が衰退し、王の権力が絶対となった事があり、王の為の美術が盛んになりました。

バロックには、「歪んだ真珠」や「規範から外れる」という意味があります。
ルネサンスで理想とされていたスタイル、バランスの取れたいわゆる「きれいだなぁ」というものを崩し、光と影の対比が強調され、とてもダイナミックな動きで大げさ(ドラマチック)なのが特徴であることから、“バロック”と呼ばれるようなりました。

マニエリスムと同じ様に、直前のルネサンスの作風への「皆同じ感じでつまんない。」という個性の現れでもありました。

<ロココ> 18c(1710~1760年代)

ジャン・オノレ・フラゴナール “ぶらんこ”

「あはは〜❤️やだもうパンツ見ないでよね〜❤️」
というような声が聞こえてきそうです。

この時代は宮廷がとても栄え、貴族が絵画をオーダーするようになりました。

なので、美術もリッチな貴族の為のものが盛んになりました。
マリーアントワネットの辺りです。

「今までの美術ってなんか堅苦し過ぎない?」
「もっとおしゃれで良いんじゃない?」

という反動で、非常に優美で陽気で明るい感じのフワフワとした作風です。“リア充”や“チャラい”というイメージです。

<新古典主義> 18c半ば~19c初め

ジャック ルイ・ダヴィッド “ベルナール峠からアルプスを越えるボナパルト”
ドミニク アングル “グランド・オダリスク“

「バロックもロココも飾り過ぎ。」

という反動で、

「やっぱりギリシャ・ローマ時代の古典美術(リアルで均等の取れた表現)が一番良い!」

と、古き良き時代に憧れ、見習う時代です。

ルネサンスパート2です。

直前のロココ美術に対する、

「フワフワしてないで国の栄光を称えよ!」

というナポレオン帝政時代の政治的な宣伝にも利用され、広まりました。
作風はバロックやロココのように飾ったり大げさにはせず、ローマ・ギリシャを見習いリアルさに厳格にこだわり、品格があります。

<ロマン主義> 18c後半~19c中頃

ウジェーヌ・ドラクロワ “民衆を導く自由の女神”
フリードリヒ “雲海の上の旅人“

「新古典やっぱり堅苦しいな。もっと感性豊かになろうよ。」

「昔のルールに縛られ過ぎ。」

となり、個人の自由な感情・感性・想像力を大事にしたロマン主義美術が始まりました。

作者の自由な感性で創作されたので様々な作風がありますが、何か情熱的なシーンだったり、神秘的で非現実的な想像の世界を描いているものが多いです。

<写実主義(現実主義、リアリズム)> 19c 中頃

ジャン=フランソワ・ミレー “落穂拾い”
ギュスターヴ・クールベ “石割人夫”

「やっぱり目の前の現実を描こう。見たまま、ありのままを正確に表現しよう。」

となりました。

この時代は産業革命によって市民の経済や行動が活発になりました。
よって文化が大衆化し、神や王や貴族よりも市民向けに、表現されるテーマも身近な日常などの風俗画や風景画が好まれ、たくさん作られました。

▽まとめ。おわりに。

いかがでしたでしょうか?

途中でお気づきになられたかと思いますが、

「これが良い!」
「やっぱこっちの方が良い!」
「いや、昔に戻ろう!」
「やっぱダサいな!」

を繰り返してきました。

これは、更なる美を求める、既にあるものよりすごいものを作りたい一心からだったのです。

様々なスタイル(主義)がありつつも、一貫して神だったり、歴史画、肖像画、静物画、風俗画、風景画がリアルに描かれ、写真の役割をしていた時代でした。

少し奇妙だな、おおげさだな、首が長すぎるな、等はあれども、何を書いているのかははっきりと分かる時代でした。

 

しかしこの後、アート史において衝撃的過ぎる出来事が起こります。

 

それはカメラの発明です。

 

写真よりリアルに描くなんて、不可能です。

「じゃあもうリアルさにこだわるアートなんて必要無くない?」

となり、アーティストたちに存亡の危機がやってきます。

なのでアーティスト達は、カメラには出来ない事、人間にしか出来ない表現を探求するようになり、様々な新しいスタイルが誕生する時代に入ります。
⇒一見変に見えるアートの始まり。

そしてここからどんどん画家それぞれの個性が爆発しおもしろくなっていきます。
⇒ネガティブに言うと、複雑で難解。

 

ということで、次回はこの「カメラ後のアート」を見ていきたいと思います!

そちらもまたよろしくお願い致します。

それでは本日もありがとうございました。

良い一日をお過ごしください☆

Aika.

5月 19, 2021 0 comment
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ART

アートの楽しみ方 ~ 近代・現代 抽象的作品でも、知識なんて要らない!一人突っ込み漫才~

by Aika Takeshima 4月 19, 2021
written by Aika Takeshima
アートの楽しみ方

タイトル写真:”Jump In” by Jackson Pollock 

こんにちは。
今回は、アートの楽しみ方についてです。

どれだけ意味が分からない系のアートでも、

「これさえ知っておけば、誰でも楽しむことが出来る!」

という方法を、ご紹介させて頂こうと思います。

 

さてさて、まず初めに皆様にお伺いしたいことがあるのですが、アートに対して以下のように感じたことはないでしょうか?

  • 「意味が分からない。」
  • 「良さが分からない。」
  • 「変わってる人だけが分かるものでしょ?」
  • 「興味はあるけど、敷居が高く感じるからギャラリーとかには行きにくい・・。」
  • 「“アートについての知識人以外は立ち入り禁止”みたいな空気を感じてしまう・・。」
  • 「形而上学?何て読むの?」
  • 「しゅるれありすむ?しゅぷれまてぃずむ?なんとかズムとか種類多すぎて諦めた。。」
  • 「“アート好きなんです=教養あるんです”みたいな、ステイタスとして買って飾ってるだけじゃない?」
  • 「お金持ちな人が投資の為、もしくはボランティア活動として若いアーティスト応援の為に買ってるだけじゃないの?」

少し極端過ぎる考えもあるかもしれませんが、

「ちょっと分かるかも!」

という項目、一つ位はあったのではないでしょうか?

気を使って頂かなくても大丈夫です!

なぜなら、これらは私が数年前まで思っていたことですから!

でも、そんなことは無かったんです。
NYに6年住んでみて分かりました。

アートって、

思ってるよりはるかにもっと気軽に皆が楽しめるもので、
あなた自身そのものが個性であるという事を教えてくれ、
それが自己肯定感のアップにもつながります。

特に、いわゆる「意味が分からない」と言われがちなアートでは、観る側も考えることで楽しみが激増します。


なのでクリエイティブさが求められる今の時代、
と同時に人間らしさが減り、自分の頭で考える必要も減っていくであろうこれからのAI時代にこそ、是非おすすめしたいものなのです。

「・・・・・・・・・。」

「うんうん、、、言いたい事は分かった。

いやでも一体どうやって楽しめと言うのだ!

やっぱりどうみてもおかしいし変だし気持ち悪いのもあるし意味が分からないって!!」

ですよね。。。。ごもっともです。

ということで、以下でその方法をご紹介していきたいと思います☆

目次

▽謎解き感覚で、一人突っ込み漫才。

(漫才とか言ってふざけているように見えますが、結構真面目なことを書いてます!ですので是非このまま読み進めてみてください!)

まず第一に、知識や教養なんていりません!

全く分からない作品を見たら、
ただ心の中で一言、こうつぶやいてみて下さい。

「どうした?」

と。

この一言には、

「ん~?どうした~?君は一体何になりたいんだい?」

「一体全体どうしてこんなことになっちゃったんだい??」

「君のお父さん/お母さん(作者)はどうしちゃったんだい??」

等々が含まれています。

で、一応、絶対当てられないですが、考えてみます。

どうせ当たらないですし、5秒位で良いです。

別に答えを出さなくても、「なんか尖がってる部分多いなぁ」とか、特徴を探してみるだけでも良いです。

そしてその後、タイトルを見てみます。

すると、ほぼほぼ、

「なんでやね~ん!!!!!!!」

とか、

「いや、そうやけども~~!!」

とか、

「なぁぁるほどね~~!!」

とか、

「そうくるか~~!!」

と、突っ込みどころ満載でしょう。

以下で、実際に例をあげながらやってみます!

▽アートの楽しみ方 例1

まずはこちら。

4oranges

 

「どうした?」

単なる丸が4つ。。
心の中が空っぽになる状態、虚無感や悲壮感等の何か4つの感情を現したのでしょうか??

ではタイトルを見てみます。

“Four Oranges”(4つのオレンジ) by Ellsworth Kelly

「うそや~~~~~~~ん!!!!!」

「え―――!?オレンジ4つ!?なんでそうなった~~!?」

「オレンジって、もっと特徴あるやん!おへそとか葉っぱとかちょっとボコボコした皮とか!!」

「虚無感とか悲壮感とか考えた自分なんか恥ずかしいやん!」

「そうくるか~!たまげた!!」

「自分だったら、オレンジ4つ書いてって言われてもこうは書かないし発表しようなんて思わない!でも確かにアリかも!?」

ここでは、自分とは違う価値観を知ることが出来ます。

・自分が知らなった価値観(この場合はオレンジをどう描くか)が世の中にはあるんだな。
・自分って結構、固定概念(オレンジといえば。。)に縛られているのかも。
・もっと色んな方法、見方、考え方があっても良いんだな。

⇒このように、自分が持っていなかった新しい価値観にたくさん触れることによって、「色々あってそれで良いんだな。」「皆違うんだな。」と、自分も他人も認めれるようになれます。

▽アートの楽しみ方 例2

お次はこちら。

 

「どうした?」


大きな円の中に、色々な円と線があります。太い2本の線も交差してますね。
ん~~~分からない。ま、とりあえずカラフルでおしゃれでかわいい。タイトルを見てみましょう。

 “円の中の円” by ワシリー・カンディンスキー

「ってそのままか~~~~い!!!!!!ww」

吉本新喜劇

 

頭の中で、吉本新喜劇の皆さんのように壮大にずっこけました。

ここでは、センスや企画力が磨かれます。
タイトルと絵自体はそのままといえばそのままですが、普通はそもそも円の中の円を書こうなんて思わないと思います。
そして円以外の線も使ってなんかとにかくおしゃれに仕上がっている発想と構図が、目の付け所とセンスがすごい!と思います。

これはビジネスにおいても重要なところではないでしょうか。
新しいビジネスを考えるにあたって、普通の人が目をつけないところに目をつけ、それを良い感じにする(需要が出るように形づくっていく)。
このようなアートは、その為のアイデアセンスや企画力の良い刺激になることでしょう。

▽アートの楽しみ方 例3

3つ目はこちらです。

「どうしたどうした?」

これは建物を透明にしてみたやつですよね?それは分かります。でも私も立体図形(下の写真)を中学校で習った時に、ちょっとがんばってここまで位のものなら書いていた気がします。

立体図形

 

一体何をしたいんでしょう?何かありそうですけど、、、、

タイトルを見てみましょう。

“Glass House / No Secret” (ガラスハウス / ノーシークレット)by Louise Bourgeois

「お~~~。なるほど、、、、、。」

  • 建物の透視図を書いて、”ガラスハウス / ノーシークレット”と名付けたネーミングセンス
  • 「秘密はない」という事を言うために、ガラスの家を持ち出してきたこのアイデアセンス

脱帽です。

これは、社名、ロゴ、キャッチコピー等を作る時にも活かされるセンスなのではないでしょうか。
伝えたい事、事業目的、大事にしている事などを、そのままの文章ではなく少しひねってみたり。また、言葉だけではなくこのように、少しぼかしつつも的を得ている絵にしてみるとか。
たとえば、「当社は風通しの良い会社です!」ということをパンフレットやウェブサイトにて表す時に、そのまま言葉を書くだけでなく、上記のような絵を添えてあげると、おしゃれ感が一気にアップするでしょう。

▽アートの楽しみ方 例4

最後の例です。

横には、この絵もありました。

いやいや、2枚目を見る前に既に「もしかして、、」と思ってましたが、2枚目を見たらもう確信犯としか良いようかないです。

1枚目は“女性の胸”でしょ?2枚目は、お股の下からのアングルっぽい。。それらを、なんかアート風にかっこよく脚色してるんでしょ。

もう何書いてるか分かってるけど、まぁ一応タイトル見ておきましょう。

1枚目”Untitled,( no. 4 of 12, from the portfolio, Anatomy)”
2枚目”Untitled, (no. 5 of 12, from the portfolio, Anatomy)” 
by Louise Bourgeois

Untitled=無題。

「無題にしたーーーーーーーーー!!!!」

「はっきり言いにくいからごまかしたんやろーーーー!!!」

「おっぱいやん(心の声ですすいません)~~!!!」

「作者は単なるスケベだったのか~?」(←例3と同じ作者です)

しかし、この作品を書いたのにもしっかり理由や背景があるそうです。

そしてそれは、決してこの作品・アーティストだけではありません。

どの作品も、アーティスト達が考えに考えて作ったものなのです。考え過ぎてそうなっちゃったとか。

ここで、知識や教養が出てきます。
アートに関する知識や歴史を知っていると、もっとおもしろくなってきます。
なんで女性の胸を書いたんだ?という作者の特徴や背景を知る事。
また、なんでこんな落書きみたいにグニャグニャゆがませてるんだ?などなども、西洋美術史を知れば、なるほど!そういう事だったのか!とすっきりします。

しかしそれはあくまで、更におもしろくするなら、です。

趣味の音楽やスポーツやミュージカル鑑賞などなどは、詳しいことなど知らなくても、専門誌なんて読まなくても、楽しいですよね?

でもファンは、「もっと知りたい!」なので専門誌を読んだりして勉強します。そして知れば知る程、「おもしろい!」となり、ファン同士ではコアな話で大盛り上がり。

それと一緒です。

なので、知識や歴史を知らなくても、全っ然良いんです!

▽終わりに~観る人が価値を与える~

 

日本の芸術界は、少しかしこまり過ぎているというか、一般の人々のことを相手にしていない風潮があります。
専門用語関係なく、何を言っているのか、書いているのか、正直分かりにくいです。
(*詳しくは後日別記事)

でもそんなのでは、アートが広がるわけがない。
私もイチアーティストなので、とても悲しいです。

「アートって、もっと身近にあるものなんだよ!」という事を広めてらっしゃる方もどんどん増えてきていますがやはり、”楽しむためにはある程度の知識は必要”と言っている方が多いです。これは初中級レベルだと思います。

しかしこの謎解き感覚、一人突っ込み漫才法は、

「全くの入門、ゼロから始めるアートの楽しみ方」

ですので、全く知識なんて要りません。

そもそもこういったアートは、

観る人が価値を与える&作者と観る人の対話。

つまり、作品は何かに対する問題提起位の意味しかなく、あとは観る人が勝手に想像を膨らませて、観る人の中で完成するものだからです。
(詳しくは後日別記事)

なので、気を使うことなく存分に破天荒な謎解きをして、突っ込みまくって下さい。

分からないものは分かりません。

なので考え過ぎず、さらっとで大丈夫です。

考えなくても、
「自分だったらこれ作って発表しようなんて思わないなぁ。」
「色んな人がいるんだな。」
「自分ももっと自分らしくして良いのかもな。」
という感じでどんどんたくさん観て、価値観を広めていきましょう☆
何も考えずに見て楽しむのも、楽しみ方の1つですので!

「なんだか気になる!もっと知りたいな!」と思う作品に出合った時だけ、改めてその作品にまつわることを調べれば良いのです。そうしているうちに、勝手に知識は増えていくでしょう。

ある程度の知識は確かに助けにはなりますし、今後皆さんの中で、「知りたい!」となる方もおられるかもしれません。なので「超簡単美術史」や「アートとは」という記事も追って配信して参ります☆

▽超簡単アート史・西洋美術史 前半 〜ほぼ神の事or写真代わり〜 | Aika Takeshima

謎解き感覚で、一人突っ込み漫才

 

いつも心のどこかに置いておいて下さいね☆

最後に、いくつか作品を載せておきますので、色々突っ込みまくって下さい☆

本日もありがとうございました☆
本記事がお役に立ちましたらば、ぜひシェアの程よろしくお願い致します☆

それでは皆様本日ありがとうございました!良い一日をお過ごしください☆

Aika.

4月 19, 2021 0 comment
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DANCE

バレエとは~宮廷ダンスからハードロックバレエまで~

by Aika Takeshima 4月 12, 2021
written by Aika Takeshima

こんにちは。
「一人でも多くの人が、もっと自由に、そして自分自身の可能性にどんどん気付いていってもらうことを使命とする、ダンスアーティスト/ライター/活動家」のアイカです。

タイトル写真(photo by Nina Wurtzel)は、Complexions Contemporary Ballet Companyのものです。後で紹介しますので、楽しみにしておいて下さいね。

実は私、小さい時にバレエをするかと親に言われていました。
娘には品よく育って欲しかったそうです。

しかし小さい時の私は、

「気持ち悪い!!」

と、速攻拒否したそうです。
(バレエダンサーの方々、申し訳ありません。じっとしていられない系キッズでした。)

今では本当に後悔しています。子供のころからやっていたら、もっとダンス上手くなっていたのになと!

ということで今回は、

  • バレエやダンスについてあまりご存知ではない方
  • 「もっと詳しく!歴史や、最新NYスタイルバレエについて知りたい!」という方
  • 昔の私の様に、全く興味の持てない方

どんな方にとっても分かりやすく、詳しく、また興味が出てくるような記事にしました。

「バレエの概要 ⇨ 歴史 ⇨現在のバレエ⇨今一番アツいバレエ団」

この順番でお話していきますので、是非ご覧ください!

目次

バレエとは 概要 ~こんなイメージ & 台詞要らず!?~

(パリ・オペラ座より)

<イメージ>

ダンスをされてない方でも、バレエといえばなんとなくのイメージはつくのではないでしょうか。

  • 爪先で立ってる
  • すごいターンやジャンプ
  • 軟体人間
  • うっとり惚れ惚れ美しいダンス
  • 王子様
  • 白鳥の湖
  • ピッタリタイツ、、、、などなど

こっちでなくて

ボリジョイバレエ

こっちですね。
(ボリショイバレエより)

  • 音楽
  • 衣装
  • 装飾
  • 独特のダンスメソッドをもった舞踊

バレエとは、これらを駆使した総合舞台芸術です。

細かい事を壮大に無視して言うと、

“台詞や歌がない代わりに、ダンスのみで行われるミュージカル”

という表現もありかと思います。イメージ的に。

動きの特徴は、
高く飛んだりたくさん回ったり、脚を高くキープしたり、
それでいて全ての所作、立ち姿どれをとっても高貴で優雅で繊細で美しい。

”人間離れの超越したテクニックと、究極の美を追求したダンス”とも言えます。

<身体で会話~マイム~>

そして他のダンスと大きく違うのは、作品に明確なストーリーがあり、台詞代わりになるマイム(ジェスチャーのこと)もある事です。
「私」「あなた」などはおそらく分かるでしょうが、「死ぬ」や「踊る」まで明確に存在するという事は、バレリーナやバレエファン以外の方々にはあまり知られていないのではないでしょうか。
例えばこちら⇩

バレエマイムリスト
バレエマイムリスト2

そして下の動画は、イギリスのロイヤルバレエ団のプリンシパル達によるマイムシーンのレクチャーです。実際に「白鳥の湖」の1シーンを使い、ものすごく分かりやすく美しくカジュアルに教えてくれていますので、是非ご覧ください!

これを見たら、
「バレエってよく分からないんだよね〜。」と思われていた方も、

「分かる!喋ってる!おもしろい!!ビューティフォー――!!」

となることでしょう☆

是非今日から、皆さんもこのバレエマイムを使って会話してみてください。喋らなくて良いので、ウィルス拡散防止にもなりますね☆

バレエの歴史

・大まかな流れ

“イタリアで生まれ、フランスで開花し、ロシアで成熟した”

バレエ歴史の流れ

これらは、バレエの歴史について語られる時によく使われる表現と、大まかな流れを図にしたものです。

ざっと歴史を振り返りたい時などに是非ご活用下さい☆

それでは以下で、一緒に詳しく見ていきましょう☆

詳しく書くとものすごい量になるので、今回はとりあえずどんな流れだったのかに重点を置き、人物名や年号などは省きます!

・起源 イタリア⇒フランス

bassedance

⇧Bassedance⇧

ballo

⇧Ballo⇧

15世紀ルネッサンス時にイタリアで行われていた宮廷ダンス(Bassedanceという、ゆっくりと床を滑るように歩くダンス)が進化し、バロ(Ballo)と呼ばれる、より軽やかなダンスらしいダンスになりました。

そして16世紀中頃、バロ大好きイタリア人お嬢様がフランス王と結婚。(フランスでは現在の英語表記と同じBalletと呼ばれました。)

お嬢様が頻繁に舞踏会を開催したため、フランスでバレエがとんどん栄えていきました。

 

そして今度はバレエ大好き、踊る王様ルイ14世(⇩写真)の力によって、17世紀末から立て続けにオペラ座と王立音楽アカデミーが作られ、バレエがどんどん発展していきました。

踊る王様太陽王ルイ14世

・ロマン主義時代のバレエ in フランス 19世紀前半

ジゼル

(ジゼル第二幕  The corps of Paris Opera Ballet   Photo: Sébastien Mathé)

フランスでのバレエの発展に伴い、技術も磨かれていき、ポワントシューズを履いて踊る技法がここで生まれました。

そして19世紀前半は社会の流れと同様に、バレエ界も自由と神秘的なものに重きをおくロマン主義に大いに影響されました。幻想的なもの、エキゾチックな作風が生まれ、丈の長いチュチュで踊られました。

これが、ロマンティックバレエといわれるものです。
代表作:「ジゼル」

その後ロマン主義の衰退やバレエの低俗化、またオペラ座の火災の影響により、フランスでのバレエは衰退していきました。

・クラシックバレエ in ロシア 19世紀後半

bolisioiballet

(ボリショイバレエより。)

ロシアでは18世紀にバレエが入ってきてから、国のサポートもありバレエは栄え続けていました。
そんな時に、バレエが衰退したフランスから優秀なダンサーや振付師が流れてきた(引き抜きもあった)ことで、勢いが加速。バレエ の中心はロシアに。

ロマンティックバレエよりもダンスそのものの美しさと技巧を重視し、チュチュが短くなり脚の可動域が広がりました。ポアントシューズでの32回転が出来るようになったのもこの頃です。

演劇の部分とダンスの部分を分け、特にダンスの部分を重視。
グラン・パ・ド・ドゥ(*)形式が確立されました。
この時代に出来たスタイルを、クラシックバレエと言います。

代表作:「眠れる森の美女」「白鳥の湖」」「くるみ割り人形」

*グラン・パ・ド・ドゥ:
主役男女による、“スローダンス⇨男性ソロ⇨女性ソロ⇨男女交互の技術の見せ場”の一連の流れ

▽一般的に言われているバレエとは、この時代までのバレエです。伝統芸能継承という感覚が近く、それぞれの所作や動きに細かい決まりがあり、守ることが重要です。

振付、曲、衣装が変えられることはありません。

ここが、オリジナリティや新しいフリ、新しい曲探しを追求するストリートダンサーからすると一番びっくりするところかもしれません。しかしバレエとはこのように決められた形式の中でいかに美しさを出すか、というところを追求しているのです。

▽しかしこの時代以降、バレエもそれぞれオリジナリティや新しさを追求し、どんどん個性的になっていきます。

・バレエの多様化。ネオクラシック20世紀

ネオクラシックバレエApollo

“APOLLO” BY ジョージ・バランシン

上記のクラシックバレエ時代を通ってきた優秀なダンサー、振付家達の中に、

「新しい事をしたい!」

「ちょっとバレエってドラマチック過ぎない!?」

「衣装とか振付とか、ちょっとやり過ぎ!」

という、今までのバレエに反対する人が出てきました。

そして、バレエのテクニックはしっかりと継承しつつも、作品自体はそれまでのバレエ界の常識を取っ払い、抽象的であり、曲も振付も自由で、シンプルな衣装が好まれる作品が生まれ始めました。

そして、より体の動きの美しさが際立つようになりました。

(日本ではモダンバレエとも呼ばれます。)

代表的な人物:
セルゲイ・ディアギレフ(Sergei Diaghilevプロデューサー)
ミシェル・フォーキン(Michel Fokine振付家)
ジョージ・バランシン(George Balanchine振付家)

上記の動画を見て頂くと、それまでのバレエと全く違うのがお分かり頂けるかと思います。装飾などもまったくなくとてもシンプルですね!

この辺から、”コンテンポラリー”や”モダン”など、定義が難しいものが絡まってきますが、詳しいことはまた別記事にします。今は、

<ネオクラシック(モダン)バレエ>
クラシックバレエへの反対から生まれた新しいバレエ(基礎はバレエのテクニック)

<モダンダンス>
クラシックバレエへの反対から生まれた新しいダンス(バレエのテクニックではない)

<コンテンポラリーバレエ>
クラシックバレエ×新しいもの
と思っておいて下さい。

バレエの更なる多様化。コンテンポラリーバレエ 20世紀~現在

hiplet ベンツ

Hiplet Ballerinas (メルセデスベンツのCMより)

実はネオクラシックバレエより少し前に、同じようにバレエへの反対から生まれた、バレエとは全く違うモダンダンスというものがあります。

クラシックバレエがこのモダンダンスに出会ったことで、コンテンポラリーバレエが生まれました。

そしてこのコンテンポラリーバレエは、ネオクラシックバレエよりもっと自由さと個性があります。

代表的なカンパニー:
Alonzo King LINES Ballet
Ballet BC
Complexions Contemporary Ballet

いつの時代も芸術家たちは、
”もっと良いもの!美しいもの!個性的なもの!自分というものを表現できる方法!”を求めるものです。
もちろんバレエもまた然りで、今ではなんとクラシックバレエ×ヒップホップなんかも生まれています!HiphopとBalletを足して、Hipletです。

メルセデスベンツのCM⇩にも起用されています。

Hiplet Ballerinas  By Chicago Multi Cultural Dance Center 

今一番HOTでCOOLでYES!WOW!!なイケてるコンテンポラリーバレエ団

complexions

最後に、今一番最先端でアツイのではと思っているコンテンポラリーバレエ団を紹介させて頂こうと思います。

それは、今回のタイトル写真にもなっているコンプレクションズコンテンポラリーバレエであります。Complexions Contemporary Ballet

complexions 日本人ダンサー