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こんにちは。
「一人でも多くの人が、もっと自由に、そして自分自身の可能性にどんどん気付いていってもらうことを使命とする、ダンスアーティスト/ライター/活動家」のアイカです。
タイトル写真(photo by Nina Wurtzel)は、Complexions Contemporary Ballet Companyのものです。後で紹介しますので、楽しみにしておいて下さいね。
実は私、小さい時にバレエをするかと親に言われていました。
娘には品よく育って欲しかったそうです。
しかし小さい時の私は、
「気持ち悪い!!」
と、速攻拒否したそうです。
(バレエダンサーの方々、申し訳ありません。じっとしていられない系キッズでした。)
今では本当に後悔しています。子供のころからやっていたら、もっとダンス上手くなっていたのになと!
ということで今回は、
どんな方にとっても分かりやすく、詳しく、また興味が出てくるような記事にしました。
「バレエの概要 ⇨ 歴史 ⇨現在のバレエ⇨今一番アツいバレエ団」
この順番でお話していきますので、是非ご覧ください!
(パリ・オペラ座より)
ダンスをされてない方でも、バレエといえばなんとなくのイメージはつくのではないでしょうか。
こっちでなくて
こっちですね。
(ボリショイバレエより)
バレエとは、これらを駆使した総合舞台芸術です。
細かい事を壮大に無視して言うと、
“台詞や歌がない代わりに、ダンスのみで行われるミュージカル”
という表現もありかと思います。イメージ的に。
動きの特徴は、
高く飛んだりたくさん回ったり、脚を高くキープしたり、
それでいて全ての所作、立ち姿どれをとっても高貴で優雅で繊細で美しい。
”人間離れの超越したテクニックと、究極の美を追求したダンス”とも言えます。
そして他のダンスと大きく違うのは、作品に明確なストーリーがあり、台詞代わりになるマイム(ジェスチャーのこと)もある事です。
「私」「あなた」などはおそらく分かるでしょうが、「死ぬ」や「踊る」まで明確に存在するという事は、バレリーナやバレエファン以外の方々にはあまり知られていないのではないでしょうか。
例えばこちら⇩
そして下の動画は、イギリスのロイヤルバレエ団のプリンシパル達によるマイムシーンのレクチャーです。実際に「白鳥の湖」の1シーンを使い、ものすごく分かりやすく美しくカジュアルに教えてくれていますので、是非ご覧ください!
これを見たら、
「バレエってよく分からないんだよね〜。」と思われていた方も、
「分かる!喋ってる!おもしろい!!ビューティフォー――!!」
となることでしょう☆
是非今日から、皆さんもこのバレエマイムを使って会話してみてください。喋らなくて良いので、ウィルス拡散防止にもなりますね☆
“イタリアで生まれ、フランスで開花し、ロシアで成熟した”
これらは、バレエの歴史について語られる時によく使われる表現と、大まかな流れを図にしたものです。
ざっと歴史を振り返りたい時などに是非ご活用下さい☆
それでは以下で、一緒に詳しく見ていきましょう☆
詳しく書くとものすごい量になるので、今回はとりあえずどんな流れだったのかに重点を置き、人物名や年号などは省きます!
⇧Bassedance⇧
⇧Ballo⇧
15世紀ルネッサンス時にイタリアで行われていた宮廷ダンス(Bassedanceという、ゆっくりと床を滑るように歩くダンス)が進化し、バロ(Ballo)と呼ばれる、より軽やかなダンスらしいダンスになりました。
そして16世紀中頃、バロ大好きイタリア人お嬢様がフランス王と結婚。(フランスでは現在の英語表記と同じBalletと呼ばれました。)
お嬢様が頻繁に舞踏会を開催したため、フランスでバレエがとんどん栄えていきました。
そして今度はバレエ大好き、踊る王様ルイ14世(⇩写真)の力によって、17世紀末から立て続けにオペラ座と王立音楽アカデミーが作られ、バレエがどんどん発展していきました。
(ジゼル第二幕 The corps of Paris Opera Ballet Photo: Sébastien Mathé)
フランスでのバレエの発展に伴い、技術も磨かれていき、ポワントシューズを履いて踊る技法がここで生まれました。
そして19世紀前半は社会の流れと同様に、バレエ界も自由と神秘的なものに重きをおくロマン主義に大いに影響されました。幻想的なもの、エキゾチックな作風が生まれ、丈の長いチュチュで踊られました。
これが、ロマンティックバレエといわれるものです。
代表作:「ジゼル」
その後ロマン主義の衰退やバレエの低俗化、またオペラ座の火災の影響により、フランスでのバレエは衰退していきました。
(ボリショイバレエより。)
ロシアでは18世紀にバレエが入ってきてから、国のサポートもありバレエは栄え続けていました。
そんな時に、バレエが衰退したフランスから優秀なダンサーや振付師が流れてきた(引き抜きもあった)ことで、勢いが加速。バレエ の中心はロシアに。
ロマンティックバレエよりもダンスそのものの美しさと技巧を重視し、チュチュが短くなり脚の可動域が広がりました。ポアントシューズでの32回転が出来るようになったのもこの頃です。
演劇の部分とダンスの部分を分け、特にダンスの部分を重視。
グラン・パ・ド・ドゥ(*)形式が確立されました。
この時代に出来たスタイルを、クラシックバレエと言います。
代表作:「眠れる森の美女」「白鳥の湖」」「くるみ割り人形」
*グラン・パ・ド・ドゥ:
主役男女による、“スローダンス⇨男性ソロ⇨女性ソロ⇨男女交互の技術の見せ場”の一連の流れ
▽一般的に言われているバレエとは、この時代までのバレエです。伝統芸能継承という感覚が近く、それぞれの所作や動きに細かい決まりがあり、守ることが重要です。
振付、曲、衣装が変えられることはありません。
ここが、オリジナリティや新しいフリ、新しい曲探しを追求するストリートダンサーからすると一番びっくりするところかもしれません。しかしバレエとはこのように決められた形式の中でいかに美しさを出すか、というところを追求しているのです。
▽しかしこの時代以降、バレエもそれぞれオリジナリティや新しさを追求し、どんどん個性的になっていきます。
“APOLLO” BY ジョージ・バランシン
上記のクラシックバレエ時代を通ってきた優秀なダンサー、振付家達の中に、
「新しい事をしたい!」
「ちょっとバレエってドラマチック過ぎない!?」
「衣装とか振付とか、ちょっとやり過ぎ!」
という、今までのバレエに反対する人が出てきました。
そして、バレエのテクニックはしっかりと継承しつつも、作品自体はそれまでのバレエ界の常識を取っ払い、抽象的であり、曲も振付も自由で、シンプルな衣装が好まれる作品が生まれ始めました。
そして、より体の動きの美しさが際立つようになりました。
(日本ではモダンバレエとも呼ばれます。)
代表的な人物:
セルゲイ・ディアギレフ(Sergei Diaghilevプロデューサー)
ミシェル・フォーキン(Michel Fokine振付家)
ジョージ・バランシン(George Balanchine振付家)
上記の動画を見て頂くと、それまでのバレエと全く違うのがお分かり頂けるかと思います。装飾などもまったくなくとてもシンプルですね!
この辺から、”コンテンポラリー”や”モダン”など、定義が難しいものが絡まってきますが、詳しいことはまた別記事にします。今は、
<ネオクラシック(モダン)バレエ>
クラシックバレエへの反対から生まれた新しいバレエ(基礎はバレエのテクニック)
<モダンダンス>
クラシックバレエへの反対から生まれた新しいダンス(バレエのテクニックではない)
<コンテンポラリーバレエ>
クラシックバレエ×新しいもの
と思っておいて下さい。
Hiplet Ballerinas (メルセデスベンツのCMより)
実はネオクラシックバレエより少し前に、同じようにバレエへの反対から生まれた、バレエとは全く違うモダンダンスというものがあります。
クラシックバレエがこのモダンダンスに出会ったことで、コンテンポラリーバレエが生まれました。
そしてこのコンテンポラリーバレエは、ネオクラシックバレエよりもっと自由さと個性があります。
代表的なカンパニー:
Alonzo King LINES Ballet
Ballet BC
Complexions Contemporary Ballet
いつの時代も芸術家たちは、
”もっと良いもの!美しいもの!個性的なもの!自分というものを表現できる方法!”を求めるものです。
もちろんバレエもまた然りで、今ではなんとクラシックバレエ×ヒップホップなんかも生まれています!HiphopとBalletを足して、Hipletです。
メルセデスベンツのCM⇩にも起用されています。
最後に、今一番最先端でアツイのではと思っているコンテンポラリーバレエ団を紹介させて頂こうと思います。
それは、今回のタイトル写真にもなっているコンプレクションズコンテンポラリーバレエであります。Complexions Contemporary Ballet
(カンパニー唯一の日本人ダンサー杉村英里子 photo by Justin Chao)
ブラックレザーパンツ!
目もと黒囲みダークアイシャドーメイク!
ヌーディーな口紅!
髪型ポンパドール!
笑顔どころかガンッガンににらみつけてきてる!!
皆さんCMなどでもご存じのレニー・クラヴィッツの名曲
”Are You Gonna Go My Way” (邦題:”自由への疾走”)や、
デイビッドボウイの曲”スターダスト”で踊ったり!
その他にもラップの曲を使ったりと、とにかく斬新。
かと思えばクラシックの曲で美しく踊る。。
そしてどのような曲であっても、作品それぞれにメッセージ、ストーリーが込められています。
つまりこのカンパニーを一言で表しますと、
今時で超破天荒なんだけども、
バレエの美しさ、品の良さ、伝統も忘れていない、
なんとも絶妙なバランスをもったカンパニー。
となります。
また写真の通り人種が関係ないのはもちろんのこと、
ダンサーそれぞれの個性、たとえば身長の高い/低いも、それぞれの個性としてうまく舞台上で活かされているところも、人気のひとつです。
(例えば小さな男性ダンサーを大きな男性ダンサー達がリフトし続けたり。)
バレエって、普通は座席にお上品に座ってみるものだと思いますが、このカンパニーの公演では思わず立ち上がって、
「フォー!!!」
と言ってしまいそうになります。
というか、実際に観客の皆さん叫んでいます。
日本にもこのようなバレエがあれば、あらゆる人がバレエを見るきっかけになり、色んなジャンルのダンサーだけでなく一般の人々同士の交流も生まれ、日本の芸術レベルがあがるきっかけにもなるでしょう。
そして私のように、
「バレエなんて気持ち悪い!」
と言って、将来後悔する子供たちを減らす事が出来るでしょう!!!
その為、私も普及活動がんばります!
本日も長々と最後までお付き合い頂きありがとうございます!
それでは皆さん本日もお元気で!
Aika.